2025/09/03 04:25

コーヒー豆についてより専門的な内容やより深掘りされている内容などは、すでにネット上ではたくさんのショップさんや、SNS、動画などで上がっていて、ここであえて説明することもないとは思うのですが、当店でも精製方法や品種などについて、商品ページに記載をしており、今後も様々な精製方法の豆が登場してくるので、補足的な説明として紹介します。できる限り専門用語は使わないよう、シンプルにコーヒーの魅力の奥深さを感じ取ってもらえるように心がけたいと思っていますので、よければお付き合いください。
今回は、新しく出したグアテマラの豆の紹介と合わせ精製方法についてお書きします。
コーヒーは、「豆」と言われていますが、実際はコーヒーの木になる果実(コーヒーチェリー)の種。その種を割った中にある実のことなんです。
収穫したばかりのコーヒーチェリーは、果皮や果肉、粘液質などで覆われています。
(梅干しの種をガリっと噛んで割って中身の柔らかい部分を出したことありませんか?それを想像してもらえるとわかりやすかと思いますが)コーヒーチェリーの中身を取り除いた実を乾燥させることで、焙煎可能な状態の「生豆」になります。
精製方法とは、この収穫から生豆となるまでの工程作業の方法を言います。生産地で生豆に精製されたものが、世界中に輸出され、問屋産や卸業者さんなどを通じて、各地の珈琲屋さんへ。ここでようやく焙煎され、バリスタあるいは消費者であるお客様の手によりドリップなどで抽出され一杯の珈琲になっていくのです。
この精製方法は、大きく分けると水洗式(ウォッシュト)と天日干し(ナチュラル)の2通りあります。焙煎の良し悪し以前にコーヒー豆の基本的な味、質とでもいうのでしょうか?それはこの精製方法で大きく決まっているとも言えます。マンデリンと呼ばれ親しまれているインドネシアのコーヒー豆もまたスマトラ式という独自の精製方法が主流です。
当店・燦月ノ海は、これまで扱ってきた豆の多くがウォッシュトと最後に表記されているものがほとんどでした。現在取り扱っているデカフェも2種ともウォッシュト精製。7月の焙煎で終売したバリの豆もウォッシュト精製でした。
英語で書くとwashed process
これは果皮、果肉を取り除いた後、粘液質を水でひたすら洗い落としていく水洗式方法です。味の特徴はとてもクリーン。すっきりとした味わいです。エチオピアの豆は現在取扱中のデカフェもそうですが、レモンティーや紅茶、柑橘を思わせるようなすっきりとした味わいのものが多いです。ウォッシュト精製の特徴とも言えます。大量の水を使用するため、水資源が豊富な地域ではこの方法が主流になっています。ちなみにケニアはほとんどがウォッシュト精製です。それ以外の精製方法で出荷されている生豆は、見たことないかもしれません。
グアテマラ産のコーヒー豆もこの水洗式の精製方法によるものがほとんどです。
が、今回、出したオリエンテ地域の豆はナチュラル精製(natural process)。ナチュラル精製のグアテマラの豆というのは少し珍しいかと思います。
ナチュラル精製は、コーヒーチェリーをそのまま天日で乾燥させてから、生豆を取り出すやり方で、果実味ある味が魅力的とされています。実をそのまま天日干しするため、カビや腐敗など、管理に気をつけなければならないのが難点とされています。
このグアテマラも、焙煎する前の生豆の状態の時から、バニラやベリーを思わせるような甘い果実のような香りが漂いました。適した焙煎度も、浅煎りから深煎りまで幅広く可能性があり、今後もサンプル焙煎を繰り返しながら味を追求していきたいと考えています。
近年は気候変動、環境の変化に伴い、生産量だけでなく、品質にも影響が出てくるようになったこともあり、農園の生産者さんたち自身で様々な精製方法を生み出しています。アナエロビック精製、ハニー精製と呼ばれるより個性的で新しい味を生み出す精製方法も多くなってきていました。他にも、ワインやスパイス、フルーツなどに漬け込むインヒューズドコーヒーと呼ばれるものもあったり…。奥が深いですね。もし、精製方法に興味を持っていただけたら、今後、珈琲屋さんで注文するときに、ぜひメニュー表にも注目していただければと思います。
コーヒー屋で注文する際、メニューの書き方はそのお店によって様々ですが、
主に
原産国 農園 グレード 精製方法など、そして焙煎度合いや、どんな味がするかなどの説明などがあり、最後に価格が表記されているものがほとんどかと思います。もし、他にお客さんが多くない時だったら、お店の人に精製方法について質問してみると、嬉しそうに説明してくれる方も多いと思います。
お店によっては原産国しか書かれていないシンプルなメニューもあるかと思います。細かな情報が多くて整理しきれなくなることもあると思います。専門的な話を聞くよりも、あえて最小限の情報の方が、選びやすいこともあると思います。自身も、お店でコーヒーを提供する日が来て、メニュー表を作るときは、精製方法など事細かく書いても、口頭で説明するのは大変なので、意外と、原産国と焙煎度合いだけでシンプルにまとめてしまうかもしれません。
ただ、精製方法のお話をしたように、原産国や焙煎度だけでなく、同じ原産国でも農園によって、精製方法によっても、焙煎度合いとは全く違った側面からもコーヒーの味は様々です。精製方法で飲み比べるのも魅力の一つです。美味しく飲むだけでなく、生産地の風土などを感じ取れるかもしれませんし、生産者のストーリーなどを想像し、思いを馳せることもできるかもしれません。
燦月ノ海では、今後も、産地や農園だけでなく精製方法なども見ながら入荷する豆を選び、精製方法なども参照しながらその豆の個性を一番引き出せる焙煎度合いを追求したいと思っています。
長くなりましたが、8月焙煎のグアテマラ オリエント ナチュラル 今月の焙煎でお出しできる数は少ないですが、大変おすすめです。ぜひ、この機会にお買い求めください。
お試しセットもあります。